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2017年8月22日火曜日

ブルーカーボンセミナー

神戸大学で行われたブルーカーボンセミナーに参加してきた。
ブルーカーボンは比較的新しい概念ですが、現時点での最新の知見をまとめた報告会、概要は次のとおり。

開会
・地球温暖化への対策としては、いかに空気中の①二酸化炭素を削減するか②温暖化の
 影響に対していかに適応策をとるかの2つに分けられる。
・第5期科学技術基本計画;超スマート社会(SOCIETY5

趣旨説明
・ブルーカーボンは気候変動対策の文脈、行動無くして実践なし
・プロの研究者は学会、論文から一歩踏み出す必要がある。

1. ブルーカーボンとは
ブルーカーボンとは、海中のグリーンカーボンであり、グリーンカーボンとは光合成などの作用によって植物が大気から吸収し、生物の体内や土壌に蓄積させた炭素のこと。
 →ブルーカーボンとは、海洋生物の作用によって隔離あるいは貯蓄されたもの
ブルーカーボンレポート2009UNEPグリーンカーボンのうち、ブルーカーボンがその55%を占める。森林や海洋のCO2隔離・貯蓄機能の維持・向上が極めて重要。マングローブ林、エンセイシッチ、海洋藻場は海洋面積の0.5%以下だが、毎年貯留される炭素の50~最大70%を賄う。食料供給を除いても年間25USドルに相当するコベネフィット;海洋を基盤とする緩和策である。

Substancial role of macroalgae in marine carbon sequestration (2016) nature

2. 大気からのCO2の吸収
・外洋は人間が出すCO2の約4分の1を吸収している。

3. 日本沿岸の藻場による有機炭素の生成
・草体・藻体(有機炭素)の年間生産量が日本全体でどの程度あるのか?
・アマモ;枯死分解、被食、系外流出、堆積(割合多い?)
・海藻;枯死分解、被食、系外流出(割合多い?)、堆積
・全球的に3.7百万トンの二酸化炭素を吸収(ネイチャーの論文から)
・対象となる藻場(環境庁);総計201212ha1990年代初頭;ガラモ場87998haなど)
・最新の藻場は?水産庁事業(平成2125年度);アマモ場の生産量、東北地方(万石浦、鮫ノ浦湾)は特異的に高い(アマモは単独種)
・ガラモ場の生産量には海域間で大きな差は見られない(ホンダワラは複数種で困難)
日本全体で海藻により毎年約470万トンが固定されている;日本全体で12億トン、産業部門で34億、水産部門で570万トンを排出
・藻場が炭素の吸収源として認められるためには、藻場を介した炭素の流れを詳細に解明する必要がある。
Q;藻場は天然のみ、養殖は含まれていない。

4. 堆積物における長期炭素貯蓄の仕組みと役割
・ブルーカーボンの大部分はバイオマスではなく、土壌の中に含まれる。
・グリーンカーボン(倉庫型;貯蔵量の固定は比較的容易、積算炭素隔離容量敷地面積に制約される)vsブルーカーボン(工場型)
・ブルーカーボン生態系の成立には、グローバル炭素循環から地球し的な意義がある
・グローバルカーボン生態系の大部分は熱帯沿岸域、日本のブルーカーボンはグローバルに見るとわずか。
・ブルーカーボンは大半が地下資源である。このため、グリーンカーボンを計測する在来の技術は、ブルーカーボンの定量化には十分に役に立たない。
・ブルーカーボン生態系の真価を総体的に評価するためには、外洋へ移出された有機炭素の隔離・貯蔵過程を定量化する新規技術の確立が不可欠である。

c;アマモ場の場合は半分がアマモの堆積物、外から流れてきたものが半分など大雑把にはある。

5. 沿岸浅海域で隔離された炭素の行方
・アマモ成長モデル;密生藻場は30%流出、疎生藻場は70%流出などとして計算;瀬戸内海の藻場の生産量、分解量、堆積量、流出量
・流動モデル;
1年間に瀬戸内海のアマモ場で隔離された炭素の行方;年間炭素隔離量(72959tc)のうち、41%が瀬戸内海に堆積、8%が外洋へ流出堆積、51%は分解される大部分は浅海域に堆積
・アマモ場1haあたりの炭素貯蔵能力は19トン;杉人工林の炭素吸収・貯留能力に匹敵
(アマモ場内;流出 分解 堆積、瀬戸内海全体;流出 分解  堆積)

6. 沿岸浅海域における気候変動の緩和と人為影響
CO2吸収と炭素貯蓄は全く別物、どちらも重要(全球における炭素循環図)
・既往の研究;沿岸せん海域はCO2排出源;石灰化(骨格、殻形成)によるCO2放出が着目され始めた
・吸収源の事例収集;河口内湾での藻場の
仮説;都市に隣接する沿岸海域ほど大気中CO2の吸収源;貧酸素水塊は炭素貯蓄を促進?
・土木学会論文集
・社会システム(下水処理)と自然システム(せん海域)のうまい組み合わせ効果的なCO2吸収源

海洋鉄散布;ロンドン条約的に中止された;効果はあるか。
効果といったときに経済的にどういう風に評価できるのか?など。評価についての要因。陸はマングローブとか森林とか費用対効果は高い。ここでの効果はCO2効果、事業化の場合には根拠を示せると良い。

7. ブルーカーボンの応用と実例
・海洋都市横浜として進めるため、うみ協議会を設立(2015
・カーボンオフセットの認証(横浜市漁協、八景島);クレジット認証により01tCO2単位で売却が可能

ブルーカーボンは評価としてどのように位置付けられているのか?
ここでの事業はお金儲けではない。環境配慮に向けた仕組みずくりである。少しのお金でも回していく。
漁協の反応;もともとは漁場ではなく動き始めた。子供が喜ぶ姿など徐々に動き出した。トップの意見も大きかった。役所は作るまでは補助を出すが、売る方は任せてしまうからダメ。売り先があるなら作ろうとなるだろう。中央卸売一場にも感度の高い人がいた。

8. ブルーカーボンの今後
・ブルーカーボンは発展途上、データが少なく科学的根拠の強化が必要
SDGsに気候変動対策が入っている。食べれるから、美味しいから、楽しいから;これが地球温暖化の対策にもなっている
・政策ガバナンス、科学技術、地域社会での活動や取り組み;科学技術や地域連携
・パリ協定後の動き;オーストラリアはブルーカーボンの活用など測定を開始

海藻養殖に付加価値を与えることができるか?
食料供給、CO2二軸、他に様々な要因の中で選択オプション、生態系サービス

会場
神戸市内












(仙台生活144日目)



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