NHKスペシャルで特集を組んでいた
睡眠負債についてです。
NHKのホームページでは、睡眠負債の診断もしています。
http://www.nhk.or.jp/special/sleep/
リスクは「低」と診断されたので、当面は大丈夫か?
以下、防備録としてメモメモ。
(仙台生活81日目)
わずかな睡眠不足が、まるで借金のようにじわじわ積み重なる「睡眠負債」。命にかかわる病気のリスクを高め、日々の生活の質を下げていることが明らかになってきています。どう予防・対策するか?最新研究の取材をもとに迫りました。
自分では気づけない?「睡眠負債」とは
いわゆる「睡眠不足」というと、通常イメージするのは1日3時間睡眠などの生活ではないでしょうか。こうした「極端な睡眠不足」を続けていると、ストレスや疲労の影響で生活の質が低下するほか、さまざまな病気のリスクが高まってしまうことがわかってきています。
ところが、1日6時間程度ねむり、自分では睡眠に問題はないと思っている人でも、実はわずかに睡眠が足りておらず、その影響がまるで借金(負債)のように蓄積することがわかってきました。いま睡眠を研究する専門家たちは、この「蓄積する睡眠不足」を「睡眠負債」と名づけ、対策の重要性を指摘しています。睡眠負債がたまっていると、自分では気がつかないうちに仕事や家事のパフォーマンスが落ちてしまったり、命にかかわるような病気のリスクが高まってしまったりする可能性があるというのです。
ここに注目!データ
日本人の睡眠時間は、短くなり続けている。
国の調査(国民栄養・健康調査)によれば、睡眠時間が6時間以下の人はH20年には全体の3割未満だった。しかしH27年のデータでは4割近くに急増。逆に、7時間以上の人は大幅に減った(34.5%→26.5%)。
脳の働きが、知らないうちに低下する?
睡眠負債がある人は、知らないうちに仕事や家事のパフォーマンスを落としているかもしれません。
米ペンシルバニア大学などの研究チームが行った実験です。
研究者たちは、被験者を徹夜のグループと、睡眠時間6時間のグループに分け、注意力や集中力がどう変化するのかを調べました。
Van Dongen HP.et al Sleep(2003)より改変
横軸が実験開始からの時間を示し、縦軸は、注意力や集中力を調べるテストの反応速度を表しています。まず徹夜のグループを見ると、初日、2日目と成績が急激に下降しています。脳の働きが急激に衰えているのです。
一方、6時間睡眠のグループでは、最初の2日間はほとんど変化はありません。しかしその後…徐々に脳の働きが低下していきました。そして、2週間後には、徹夜グループの2晩経過後とほぼ同じレベルになってしまったのです。すなわち、「6時間睡眠を2週間続けた脳は、2晩徹夜したのとほぼ同じ状態」ともいえることになります。
しかも驚くことに、6時間睡眠のグループは、脳の働きの衰えを必ずしも自覚していませんでした。徹夜した場合と比べ、わずかな睡眠不足がじわじわ蓄積した場合、なかなかその影響について自覚できないのです。
がん・認知症のリスクが高まる!?
最近の研究で、睡眠負債は脳のパフォーマンスの低下にとどまらず、さまざまな病のリスクを高めていることがわかってきました。
いま注目されているのが、睡眠とがんの関係です。2014年に米シカゴ大学が行った研究では、実験的に睡眠を不足させたマウスでは、がん細胞が増殖しやすくなることがわかりました。本来ならがん細胞を攻撃するはずの免疫細胞が、睡眠不足の場合、がん細胞の増殖を手助けするようになる可能性が見えてきたといいます。
実験を行った研究者は、今回の研究はマウスを特殊な方法で睡眠不足にしているので、この結果をそのまま人間の睡眠負債にあてはめられるかどうかは議論の余地があるとしながらも、人間でも同じことが起きている可能性が高いと指摘しています。睡眠負債は、免疫システムの働きに影響を及ぼし、結果としてがんのリスクを高めている可能性が見えてきました。
ここに注目!データ
東北大学が、女性およそ2万3995人を7年間追跡し、睡眠時間と乳がんの発症リスクの関係を調べた研究では、平均睡眠時間が6時間以下の人は、7時間寝ている人に対して乳がんのリスクがおよそ1.6倍になることがわかった。
もうひとつ注目されているのが、睡眠負債と認知症のリスクとの関連です。スタンフォード大学の西野精治さん(睡眠生体リズム研究所長)らは、マウスを使った実験で、睡眠中にアミロイドベータと呼ばれる脳のごみが排出されることを突き止めました。アミロイドベータは、認知症の最大の原因であるアルツハイマー病の原因物質とも言われており、発症の20-30年前から蓄積するといわれています。つまり、働き盛りの時期に十分な睡眠をとっていないと、数十年先に認知症になるリスクを高める可能性があるのです。
どう見極める「睡眠負債」
では自分に「睡眠負債」があるかどうか、どうすれば見極められるのでしょうか?ひとつの目安は「寝だめ」が起きるかどうかです。
週末、光が入らないよう寝室の遮光をしっかりして、時計や携帯など時間がわかるものを持たずに寝てみます。そして眠気がなくなるまで、ぐっすりと寝ます。(目が覚めても眠気が残っている場合は、2度寝してください。)
もし睡眠負債がある場合、こうした睡眠に理想的な環境では、体は自然に負債を返済しようとします。つまり、普段より睡眠時間は長くなるわけです。番組に出演した専門家によれば、「遮光して時間を気にせず寝た場合に、睡眠時間が通常より2時間以上長くなった場合は、睡眠負債があると思ったほうが良い」ということです。
睡眠負債 どう返済するか
睡眠負債のリスクがあるとわかったら、どうすれば良いのでしょうか?その方法は、言ってみれば単純です。「これまでより長く寝る」ようにすればよいのです。
ただし専門家によると、「週末の寝だめ」に頼ろうとすると生活リズムが乱れ、平日の睡眠に支障が出てかえって負債を増やしてしまうリスクが高いのだそうです。
お勧めするのは、平日の睡眠時間をいまよりちょっとだけ多めにし、週末も同じ時間をキープすることです。1日に必要とされる睡眠時間は年齢によって変わりますが、20~50代の働き盛りの世代であれば、1日に7~8時間程度とされています。いまの自分の生活を振り返り、睡眠が6時間以下であれば、少しでも延ばせるように暮らしのスケジュールを見直してみたほうが良いかもしれません。
「早めに寝床に着いたとしても、なかなか眠れない」というお悩みをお持ちの方もいるかもしれません。そんな方の対策として番組では、「ベッドでのスマホは厳禁」「上を向いて歩こう(午前中の太陽光を視野に入れよう)」という2つを「眠りの極意」として紹介しました。番組に出演した睡眠の専門家はこれに加え、下記の「速やかに寝るための極意10カ条」を進めています。参考にしてみてください。
※すべてを行う必要はありません。ご自分の生活に無理なく取り入れられるものを選んでためしてください。
ここに注目!データ
高齢者の場合、体に必要な睡眠時間は40-50代のころと比べて減るとされていますので、必ずしも7-8時間寝る必要はありません。「8時間寝なければ」と意識しすぎるとそれ自体がストレスになり、かえって不眠につながることもあるので気をつけてください