COC認証は今のところ日本国内はイオンが認証を取得していますが、築地市場も取得したようですね。こういった環境エコラベルの動きが日本でも徐々に加速していくでしょう。
○築地市場MSC、ASCのCOC認証を取得のプレスリリース
http://www.tsukiji-uoichiba.co.jp/mscasc2015.pdf
先の記事も一緒に参考にどうぞ。
○カキ養殖のASC認証取得を目指して
http://nabegory.blogspot.jp/2015/11/asc.html
南三陸ポータルセンター |
会場の様子 |
おまけ:さんさん館で見つけた煮ダコ |
(忘備録)
1. あいさつ
・戸倉のカキ養殖で現在ASC認証を審査している。
・生産が認証されると、次は加工流通の認証が必要になる(COC認証)。
・加工流通についても取得を進めていただきたく、今回はこのセミナーを開催した。
・本日はよろしくお願いする。
2.
水産エコラベルについて(WWF担当)
・世界の魚事情:天然の水産資源は減っている 。
・シーフードの未来:天然の消費量はそのまま、養殖の消費量は増加(世界銀行調べ)、2030年には天然と養殖は半分半分になる。
・養殖業は成長する産業という世界の認識。
・養殖が海に与える影響:①海洋環境および水質への影響、②病害虫感染、③抗生物質、④化学物質の使用、⑤養殖場外への逃亡、⑥生物多様性への影響、⑦飼料の管理と調達、⑧社会と労働に関する問題
・責任ある養殖業が確立されれば、天然個体群、海洋環境、水質に養殖業がもたらす影響を大幅に減少できる。
・養殖(給餌)をするにも飼料として天然魚が必要:飼料の73%が水産業に使用される。(世界銀行調べ)
・ASC認証の目的:持続可能な水産業としての発展し、消費者への信頼性の向上に資する。
・2014年にイオンで日本初のASC認証サーモンが販売された。
・ASC対象となるもの:サケ、二枚貝、ブリ類、アワビ、エビなどである。
・ASC認証養殖場:世界で190程度、二枚貝では世界でも5〜6例のみ。
・アミタから戸倉のカキに対するパブリックコメントが公表される。
・認証を取得するということは条件からトレーサビリティされていることの裏付けとも言える。
・認証には、養殖場認証ASCと流通認証COCがある。
・原則1 法令遵守(自然環境に対する基準)、原則2 自然環境(生物多様性への影響軽減)、原則3 天然個体群への影響軽減、原則4 飼料、化学薬品廃棄物の適切な管理、原則5 養殖魚の健康と病害虫の管理の原則にしたがう必要がある。
・ASC認証取得のメリット:①漁場環境の維持、②漁協の取り組みを広く発信、③国際的なブランド化、④国内外の販売チャンネルの拡大;イオン以外にも優先的に取り扱うという声、⑤販売価格の安定、⑥東京オリンピックでの需要拡大など。
(会場質疑)
Q:海の環境に対する認証か?
A:認証できる製品は限られる。戸倉から申請が来たのは牡蠣のみ。志津川の牡蠣、志津川漁協のものとなると別物となる。戸倉が取得するのは環境に対してのものである。
Q:我々が戸倉のものを販売したいとなるとどうすれば良いか?
A:COC認証はエコラベルというよりは取り扱いの認証と言える。混在させたりすることはないか?など
Q:認証できる会社は?
A:アミタ以外に7社ある。
Q:稚貝を他海域から持ってきて養殖している場合に、稚貝を出したところが認証を持っていなくても大丈夫か?
A:購入記録はチェックするが、例えば種ガキの業者が認証を持っている必要はない。
3.
持続可能な水産資源とエコラベル(アミタ担当者)
・COC認証はMSC認証とASC認証で共通化している。
・MSCは1997年(イギリス)、ASCは2010年(オランダ)に設立された。
・Chain of Custody(COC)認証とは、第3者認証による水産物の世界的なトレーサビリティ・システムのことである:エンドユーザーは漁業者まで遡ることができる。
・消費者向けに包装済みの商品を取り扱う場合であれば、認証の取得は必要ない(商品に手を加える場合に必要)。
・審査に向けては認証範囲の設定が必要で、認証形態の種類には単独認証/マルチサイト認証、グループ認証などがある。
・手続きとしては、COC管理マニュアルの作成、マニュアルの内容、関係者への教育訓練を実施、外注先との覚書締結などを行う。
・認証取得のポイント:①認証製品と非認証製品の識別、②帳票上でMSC
/ASC製品・認証番号、数量の確認できる、③加工時の識別、歩止まり、在庫、記録の管理、④販売から仕入れまで遡れるような管理、⑤販売仕入れの数量管理など。
・認証取得までの流れ:期間は標準で2ヶ月程度(準備1ヶ月、書類審査、工場審査(従業員インタビューを含む)で1ヶ月)、ただし、重大な不適合(認証商品以外のものが間違って出てしまう可能性など)があると長引く。
・認証の有効期間は3年間、定期監査が年に1度ある。
・審査費用は1箇所1工場1日の場合は20〜30万円程度。
・エコラベルの使用料:最終製品を作ったところに費用が発生する(中間業社は支払い義務なし)。
・マーケティングツールとして活用が可能である。
・日本で認証を京都ズワイガニ、北海道ホタテの2件だけである。
・世界の天然魚介類漁獲高の10.5% はすでに認証を取得している。
・アミタ株式会社はアジア初のMSC、ASC、COC認証機関として、認証取得をサポートしていくつもりである。
(会場質疑)
Q:漁協共販取得の必要性、入札、二枚貝以外(海藻)の進捗状況、認証期間の問題など教えて欲しい。
A:共販について、パックされたものに関しては混ざる問題が無いので、COCの取得は不要である。あくまでも最終販売社が認証をとって販売する仕組みと理解いただきたい。また、二枚貝以外だが、今のところは制限されているが、海藻については天然ものと養殖ものの取り扱いを本部で協議している。
Q:養殖生産者の場合のコストについて
A:養殖場の場合は100万〜200万、取得まで1年くらいと考えて欲しい。
Q:単独認証とグループ認証の違いについて、将来展望を考えるとあらかじめグループ管理者を置いてグループでとった負が経費的には良いか?
A:審査項目が増えるし、一概には言えないが、将来的に広げる予定があるならば、グループで取るのも手である。
Q:戸倉が行った今までと違った取り組みとは具体的に何か?
A:間隔を開けて水質の環境を良くしたことが大きい。
Q:対岸に志津川支所があるが、戸倉が認証を受けて志津川が難しいとなる可能性もあるのか?
A:密度などは問題になるかもしれない。水質や底質への環境影響、後は廃棄物の管理とか調べられる。
Q:漁場汚染物質の削減基準は何に基づくのか?
A:削減しろということではなくて、底質の計測をして、基準より高いとか低いとかが基準となる。世界共通として硫化物を採用した。
Q:宮城県では漁場利用基準計画があるが、そちらと繋がりとかあるか?
A:まずは県の基準をクリアしていれば良いだろう。
Q:基準に信頼性はあるのか?地域性などあるだろう。
A:学術的な意見などを受けて設定した。今後、海底の状況などもみて改定もありうる。
Q:硫化物だけで良いのか?
A:水産養殖管理検討会の中で何を指標とするかの検討がなされて、その中で決められた。対象種類ごとに評価指標は異なっていて、二枚貝では硫化物となった。牡蠣の場合は水を浄化する、糞となるものから硫化物となっている。認証を取ることで環境が良くなるということも担保できる仕組みでありたい。
Q:COC認証は商品ごとに取るのか?
A:COC認証は1つの取得で扱える。新しくホタテが出てきても取り扱い方法が同じならOK。取り扱いが違うなら、監査はするが費用上昇はあまりない。
Q:支援体制について?
A:九州地域のとある自治会からブリ類で問い合わせがある。市町村の方で作業費用を負担するという自治体もでている。
Q:海のゴミとしてマイクロプラスティックは考えないのか?
A:審査基準にはないが、所有者管理など盛り込まれる可能性はある。
Q:牡蠣のブランド化を進めたいと考えている。我々のところは近くの3支所が関係しており、共通ルールを確立している。我々3支所が認証を取得するためのアドバイスいただきたい。
A:意思統一ができるかどうかが大事なポイントになる。地理的な有利不利はない。どんなパートナーがいるのか。
Q:ギンザケで取得するとなると網の材質や餌の基準が問題になるのか?
A:そのあたりは当然チェックポイントになる。
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