地域活性化の伝道師として活躍されている中澤さんの取り組みには以前から注目していたので、とても良い機会になりました。
「地域資源のブランド化」をテーマにした今回のお話では、ブルー・オーシャン戦略と呼ばれるマーケティングの考え方の基礎を実践事例とともに教えていただきました。これがなかなか興味深く、いろいろと試してみたくなります。
萩シーマートへの電撃訪問を画策中!
岩手大学三陸サテライト① |
岩手大学三陸サテライト② |
セミナーの様子 |
中澤先生とご一緒に |
<セミナーの詳細記録は次のとおり>
講演
萩しーまーと地域資源のブランド化〜ブルーオーシャン戦略の実践〜(萩しーまーと駅長、中澤さかな氏)
・釜石市と萩市は先の産業化遺産登録でも一緒になった。
・釜石は「鉄」と「魚」の町と言われるが、魚については余りこれといった印象がない(とはいっても売り出す必要がある)。
・萩市も実は水産が特産なのだが、どちらかというと歴史の方が有名すぎて魚はあまり名前が出てこない(同じ境遇)。
・私は様々な呼び方をされるが(地域活性化の伝道師、地域力創造アドバイザーなど)、私は、「埋もれているものを引き上げる」ということを主としている。
・TV番組がっちりマンデーの中では「萩しーまーと」はお魚メインでがっちりとして、①市場の横に店舗を構えて新鮮なものを輸送コスト0で搬入、②第2日曜日を魚の日としてアンコウなど無料の試食会、③勝手御膳(鮮魚入り場で買ったさかなを500円で料理してくれる)などが紹介された。(スクリーン上に動画放送)
・中澤さかな、本名は中澤等(ひとし)。
・萩漁港は、量はまとまらないんだけど種類は多く獲れるという性質の漁港である。
・雑魚のブランド化作戦として、マフグを取り上げた(近くの下関ではとらふぐがすでにブランド品)。
・マフグは刺身にしても美味しいという特徴があって、食べ方の工夫を広げることにより、取り上げてから7年で400円/kgから1000円/kgへ単価増。
・次に金太郎という魚、雑魚扱いされていたが実はフランス料理に使われていることを知り、ブランド化へ(金太郎のオイル漬け)。
・ブルーオーシャン戦略とは、人がやらないこと、行っていないことをやるというもの(対義語はレッドシー:血で争うと訳す、俗に言うありふれた品物:一夜干し、みりん干し、練り製品など)。
・レッドシーは安くする価格競争へ飛び込むことになり、消耗戦でプライドも傷つく。
・よそがやっていることをそのままやっても意味が無く、新しい価値を持っていかないとダメというのがブルーオーシャンの言わんとするところである。
・NHKプロフェッショナルのオープニング:ねえ、僕らが夢見たのは、誰かと同じ未来じゃない。誰も知らない世界に向かっていく勇気と未来と言うらしい・・・。注意して聞いて欲しい、これもオーシャンブルーのこと。
・マーケティングとは何か?
・market+ing:マーケティングというと「調査」と勘違いされがちだが、正確には「売れる状態にするための一連の作業」のことを言う。
・すなわち、売りたいその魚のことを徹底的に調べ倒し、競争優位性を確保し、市場参入するというものである。
・競争優位性がないのなら、それはやらないほうが良い。
・競争優位性についてもう一つ加えると、自分たちの魚を調べ、ついでによその同じ魚を調べるということである。
・基本的に地方で作られるものは知られていないと考えたほうが良い。
・また、日本人は基本的に食に対しては保守的、そのため、知ってもらうには高頻度の宣伝が必要になる。
・お金に裕福な団体はそんなにないのだから、無償の新聞やテレビなどで放送してもらう、その時に競争優位性が効いてくる。
・競争優位性があれば、マスコミは喜んで取り上げてくれる。
・例え市場価値がないものでも、しっかり調理すれば付加価値がつくし、新たなジャンルの製品へ高度化できる。
・平成の出世魚:金太郎に話は戻るが、これはもともとローカルに流通していた魚である。
・この魚のことをいろいろと調べていたら、海外では高級魚だったので、フランス料理の最高峰のお店に売り込みに行き、結果、ディナーコースに採用された(お店も手に入ると思っていなかったので、お互いにwin-winに)。
・このことは、捨てていた魚が高級フレンチだったとしてマスコミも各方面で取り上げた。
・マスコミの次の展開として、著名シェフとのタイアップ(我々の業界では最大化という、言い方を変えれば、人のフンドシを活用するともいう)。
・オイルルージュはコンフィという料理法で、山形県の奥田シェフとの協働によるものである。
・基本的には東京に売り出したいので、おしゃれなデザインを採用した。
・金太郎は6年前に出したが、実際に当時はこのような商品がなかった。
・金太郎のオイルルージュはおばちゃんが三人でやっている(大きな加工場でやっているわけではない)。
・その後は小魚のコンフィシリーズとして横に展開していった。
・炙り握りは本当におすすめ、見た目も美しい。
・金太郎は平成の出世魚となった。
・次に他の優良事例を紹介する。
ケーススタディ:特選メニューの開発①
・鯵ヶ沢ヒラメ漬け丼
・漁協の女性部など関係者で考案してデビューした。
・市内の13店舗が名物化
・継続するためには2万食といった判断基準があった
・魚の町というのであれば、ご当地のスペシャルなメニューを1500円までで作ると良い。
・決まったようなものがないのなら、ただし、普通のものではダメ、よそには真似できない、ないものを特徴とする、普通の海鮮丼はNG
・また食べたいとなればお土産化へ、ここまでは普通。
・ここからがすごい;鯵ヶ沢天然ヒラメのボッタルガ;ヒラメの卵巣でカラスミを製造、ボラとヒラメ、申し訳ないがヒラメが上、ヒラメ漬け丼プレミアムとしてカラスミをトッピング、よそが真似できない。これがブルーオーシャン!
・必ずしも新しいものでない、昔からその地域で食べられていたものなどがヒントになることもある。
ケーススタディ:特産メニュー開発②
・鳥海選び丼、小さな丼をお腹の様子と食べたいものから選ぶというスタイル
・この地域だけでものすごい数の丼ができている
・女性目線だと量的な不安、味が混ざるのを嫌う。一つの丼にあるとできない。この問題点を克服した、理にかなったメニュー。
・うどんにはハタハタ汁が必ずうどんとして付いてくる。
ケーススタディ;いかたっぷりXO醬
・漁協女性部からの相談で始まった企画。(最初は食べるラー油の要望があったが)
・今では大手企業が手がけ始めているから、すでに市場は飽和。
・熊谷喜八シェフの考案、名刺で教えてもらう、就任
・当たり前のものを作らないという方針
・大きな瓶だけの時は売れなかったが、小瓶600円を用意したら売れた、小さくすると買いやすくなる、ダウンサイジングという方法、今は一家庭で一人から2人の生活、その人たちの購買行動を考える。
ケーススタディ;漁師の島ごはん
・福岡県おろしま
・島のお宝探しがスタート、漁師のまかない料理「こねくり」がヒントに
・余ると家庭によって味は違うが、瓶詰めして保存している。
・おいしいとともに懐かしさを感じる温かさを感じた→商品化へ
・常温流通を可能とするために殺菌など
・当時はまだ天然ブリのフレークというものはなかったが、三陸で同時期に出た、
・リボンなどのデザインは今では受け入れられない、販売店には並べにくい、リボンはお金がかかる、手間もかかる、中身で勝負なので余計なものはいらない。シンプルなパッケージにしてデビュー。
・多くは商品開発までで止まっていて、販売まではかんがえていない\我々は役場の人に広報や営業を仕掛けてもらった。
・九州ウォーカーへ、市長自らが宣伝マンに
・伊勢丹が宣伝も始めた。
・次の一手;魚売り場の角っこ(特等席)に小呂島の直送コーナーが登場
ケーススタディ;加領郷魚舎
・金目鯛を一匹使い尽くす
ケーススタディ;黒潮町缶詰製作所
・なんで缶詰?東南海地震で34mの津波が来るとされたことを逆手に、津波が来ても食べ物に困らないように
・人に夢があるように町にも夢がいる
・この地域に上がる水産物を使ってローカルな缶詰を作ろう!やすい缶詰ではなくて、プレミアムな高級缶詰、大手コクブンのローカル版
・おしゃれに、レシピもつけて、400〜500円の価格帯
・今では無印良品と専属販売契約を結んだ
・売れる地方商材の条件
①美味しいは当たり前
②「地物素材」の使用も今や当たり前
③「地域の食文化・食習慣」も色濃く反映したい。
④その上で「美味しそうに見えること」が重要
⑤さらに「おもしろい」「興味深い」「気が利いていると」など感動を生む演出が必要
各地の取り組み(私は噛んでいないが)
・土佐清水ワールド(都市部料理店とのアライアンス);土佐清水市が全面的に協力した店;市長がメニューで挨拶;市長公認のお店という位置付け。地域の水産にとっては固定客ができるのでうれしい。その町出身で東京でお店を持っている店
・萩大島船団丸;LINEを活用した業務用鮮魚産直
・有力なスーパーとタイアップして週一、月一でも販売会をする。
・高知空港に野菜直売所;最後に離れる場所は空港、よそがやっていない;空飛ぶ八百屋;ブルーオーシャン
・新函館北斗駅に物産館;夏場に野菜を直売所とすることを提案、これの魚バージョン
ブルーオーシャン!大事な視点。
4 質疑、意見交換
Q ありきたりなもの、ヒントはないか?
A 7年前に奥田シェフと出会った。当時まであまり考えていなかった。この人たちはすごい技術者なんだと思った。シェフの力を借りてブルーオーシャンをするというのは良い事例。気仙沼ではマグロのボッタグラ、日高さんのお店でも使っている。シェフの力を使うのは良い手立て。また、海外の加工品を見るのも良いだろう。傾向としては、フランス、スペインなどの北欧は燻製など保存して価値を高める方法を知っているので参考になるのではないか。
Q大学などで商品開発をするがなかなかうまくいかない。教科書通りなどというのもある。新規性というのがない。研究機関に足りないものがあればアドバイスいただきたい。
A 近い世界とは思う。大学の先生の研究機関は増殖や漁船漁業などに特化しているが、うる技術については弱いと思う。そっちに重きが行ってうる技術を持つことができれば良いと思う。ほとんどが技術の話。日本全国がそうなのだと思う。我々は製品開発するときにするのは、製品を開発し出した時から販売チャンネルの人たちを巻き込む(アドバイザーとする)、彼らは自分の店で売る視点でコメントくれるのでとても参考になる。商品が出来ました、売ってくださいでは遅い。巻き込まれていれば、うる段階で断ることはできない。うる人間を仲間に入れて進めることが大事。うる技術を持ってい人を入れる。現実の世界の人を大学に埋め込む。実は女性部の作る製品はオートメーっしょんをかけないで手作りなので、美味しいものが多い。うる技術が足りないだけ。
Q 女性部、役場、巻き込まれた、成功に至った関わりみたいなのはあるか?これをやったらダメとか
A これまでに40市町村と付き合ってきた。成功と失敗の要因の一つは組長であった。3回〜4回訪問しても組長と会えなければ、あまり思いがないといえるかもしれない。組長さんの想いというものはとても大事。組長が変わるとゴタゴタというのもある。組長がいかにやる気になるのかも役場の仕事。食の分野の顔発は女性が中心になって行うものだと思う。講演の時も女性を半分は集めてと言っている。
Q 釜石湾漁協女性部。去年に続き今年もシーマートを\訪問させていただいて勉強になった。担い手の漁業者育成資金を活用して動き出している。少しずつ始めていきたいとおもった。
A ええ年したおばさん。褒賞ももらった。吉村さん、全日本の会長もしていた。元気。月並みですが、小さなことからでも始めていくことが大事、分かることもある。小さければ大きな損害もないし、そういったことから始めて良いと思う。必ずしも大きな設備がなくても手作りでできるので、加工に入ると良いと思う。浜の名物料理を出すと良いと思う。釜石の魚料理を考える会など不利だsていければよいとおもう。
Q 金太郎はもともと美味しい魚だったのでは?
A めちゃくちゃおいしい。濃い味の魚だった。味が凝縮される\のか。外人?洋風の感じがする。江戸時代から食べ続けてきた魚ではあったが、鮮度低下の速さと知名度だけが足りなかった。
Q 素材のみで勝負するより異業種連携が良いということか?
A 私の関わりは基本はヘッド\事務局が行政となって、町ぐるみ取り組み体制をとる。町ぐるみでやることで始めて日の目をみる。よって、組長のやる気の有無が大きく聞く。おいしいもんあらなんでも良いかというと必ずしもそうではない。地元のものとしての強さ、\ここならではの特徴。どんこ何とかして欲しいと言っている。口から内臓を抜いて味噌を入れて串で焼いていた。見た目は良くないがおいしい。こういうものをブランド化するのは手を挙げたもの勝ちとなるところはある。よそが手をつけていないけどおいしいものというのが良いと思う。
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