2017年9月に宮城県で行われる5年に1度の和牛の全国大会を前に、和牛の知識を深めようと購入し、読みました。
和牛の知識はほとんど無かったのでとても勉強になりました!
本書は和牛のお話ですが、展望として地域の発展を考えている点も参考になります。
熟成・稀少部位・塊焼き
日本の宝・和牛の真髄を食らい尽くす
千葉祐士 著 / 講談社+α新書(2015年)
プロローグ 元祖「お肉の解体ショー」
第一章 グルメも騙される誤解だらけの牛肉選び
第二章 本物の熟成肉の選び方
第三章 黒毛和牛の醍醐味「稀少部位」ランキング
第四章 千葉流・切り方から焼き方まで、焼肉を極める
第五章 世界一おいしい和牛の作り手が追い詰められている
エピローグ 和牛から始まる「公益的ビジネス」
<防備録メモ>
・和牛:黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4種類:黒毛和種が9割を占める
・世界的に見て食用肉にこれだけの手間をかけている牛は他にない。
・日本人は「焼肉」という食文化の中から、牛肉の細かな部位の味覚や特徴を食べ分ける
という楽しみ方を持っている。
・安心安全の観点から、一頭ごとに10桁の識別番号を持って、追跡可能性(トレーサビリ
ティ)が確立されている(ここまでするのは和牛のみ)
・A5はおいしさの基準ではない;「A」が示しているのは「歩留等級:1頭からとれる枝肉
の割合」、「5」が示しているのは「肉質等級:①脂肪交雑、②肉の色沢、③肉の締まり
ときめ、④脂肪の色沢と質の4項目で評価」
・儲かる牛と美味しい牛
・美味しいお肉をつくるための条件:血統×月齢×飼料
・国産牛:品種に関係なく、一定期間、日本国内で肥育された牛のお肉の総称。
・「霜降り」の牛をつくりたい場合には、肥育の最後の仕上げである「脂作り」の期間になっ
たら資料の中のビタミンAの分量を減らしていく(牛の栄養は偏り、肝硬変や糖尿病など
にはなっていくが、サシはきれいに入る)
・霜降りをつくるということは、牛の内臓とのギリギリのせめぎ合いである。
・スーパーではオスの去勢肉が多い。
・牛は生まれてから成体になるまでに、一般的には繁殖農家と肥育農家を経由していく。
・ブランドは「氏より育ち」:ブランド牛と言っても、ごく一部を除き、その牛が現地の繁
殖農家で生まれたとは限らない(肥育農家は全国の繁殖農家から子牛を飼うことができ
る)。
・全国4大ブランド牛の定義;
①神戸牛:兵庫県産の但馬牛を素牛としてBMS値6(等級表示では4)以上、歩留まりA、B
等級、枝肉重量がメス牛は230-470キロ以下、去勢牛は260-470キロ以下
②松阪牛:三重県雲出川以南、宮川以北の地域で肥育日数500日以上のメス牛(処女
牛)。松阪牛個体識別管理システムに登録された黒毛和種。生まれてから出荷までにお
いて、この区域で肥育期間が最長で最終であるもの。さらに特産松阪牛となると、兵庫
県但馬地方から厳選した生後8ヶ月の子牛を、900日以上肥育したもの。
③近江牛:滋賀県内で肥育された黒毛和種で、メス牛、去勢されたオス牛。
④米沢牛:置賜地方で米沢牛銘柄推進協議会が認定した肥育者が登録された牛舎において、18ヶ月以上継続して肥育したもの。生後30ヶ月以上の4、5等級。32ヶ月以上であれば3等級も可。黒毛和種の未経験産メス牛。
→ 地域によってブランドの定義には違いがある。枝肉になってから評価される格付けによってブランド化するところもあれば、肥育農家での肥育日数に条件を付けた亜ものっもある。
→ 一般的に、有名ブランド牛の産地は盆地で冬寒く夏暑い気候であり、水が軟水という特徴がある。米の育成と一緒で、寒暖差が激しく水がおいしい地域でおいしい肉牛が育つと言われる。
・農家から直接購入する時代に:血統と月齢にはある程度の規定はあるものの、飼料に関しては厳格な決まりはない;同じブランドのお肉でも、飼料の配合が異なる肥育農家で育てられた牛は、お肉の質や味に差がある。;農家ブランドで選ばれる時代に。
・肉通を増やした焼き肉の流行歴史;①処女牛ブーム(1999年頃)→②一頭買い・希少部位ブーム(2005年頃)→③お任せコースブーム(2008年頃)→④赤身ブーム(2009年頃)→⑤熟成肉ブーム(2010年頃)→⑥塊焼きブーム(2011年頃)→⑦熟成Tボーンステーキブーム
・熟成については、日本ドライエイジングビーフ普及協会が定義を出している以外は曖昧なままで、お客を集めるアリバイ的に熟成の言葉だけが一人歩きしている状況にある。
・熟成の4つの手法:①ドライエイジング、②枯らしエイジング、③ウエットエイジング、
④乳酸菌熟成 ※和牛とドライエイジングの相性はあまり良くない。
・ドライエイジングの先駆けさの萬 https://www.sanoman.net/dab.html
・霜降り好きがうなる希少部位:①イチボの先三寸、②リブロースのリブ巻き、③たてバ
ラ、④みすじ、
・赤身好きがうなる希少部位:①かめのこ、②ランプ、③さんかく、④ヒレ
・「通」をうならす希少部位:①ネクタイの棒、②千本筋、③あまみすじ、④芯たまはば
き、⑤メガネ
・牡蠣との出会い 旨みの掛け算:海のミネラルの結合体である牡蠣がプランクトンを食べ
たアミノ酸の塊であるなら、大地に含まれるミネラルはまずは草が養分として吸い込
み、牛がそれを食べる。
・生産者を守れば消費者が喜ぶ;消費者の原点回帰
・和牛から始まる公益的ビジネス
・消費は再投資という発想;生産者と顔の見えるお付き合い
・和牛が繋ぐオール地域体制
(仙台生活116日目)
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