村上幸二:水産普及の伸びしろ─漁業・漁村における課題解決力の向上を目指して─
水産振興 第560号(第48巻第8号)
忘備録としてメモ
・水産の普及は1953年に,漁業者達に直接働きかける専門技術員が道府県の水産試験場に69名配置されてからはじまった。
・1959年に初めて地方公務員として沿岸改良普及員(現在の普及指導員。以下,「普及員」という)48名が漁業の現場に配置された後,いくたびかの制度改正を経ながら現在に至っている。
・京都大学の内田准教授は「普及員は実践する社会心理学者」だという。
・自発的動機のレベルは大きく3つの段階に分けられる;レベル1(L1)は「このままではいけない」という漠然としたふあんがあるものの,行動しようという意識にまで至っていない状態。レベル2(L2)は「このままではダメだ」という危機感と「何かをしなければ」「したい」という想いがあるものの,何をどうしたらよいか分からない状態。自発的動機の発芽前夜という幹事。レベル3(L3)は危機感を切実に感じ,自ら行動するという自発的動機が芽生えている状態。
・「計画づくりと行動開始と,どちらを優先したらいいのか」「行動開始を優先する」
・白隠禅師は「動中ノ工夫ハ静中ニ勝ルコト百千億倍」と言っている。
・「セレンディピティ」(思いがけない幸運に偶然,巡り合える能力)と言う言葉;「セレンディピティ」を発揮するためには「まず行動すること,次に気づくこと・・・」と脳科学者の茂木健一郎氏も「まず,行動する」ことを進めている。
・私は「個人の力」+「支援者の力」=「普及の力」だと思っている。
・研究報告ですから,事例から普遍的なものを見つけて。
・水産普及の目的を端的に言うと「現状打開のための自主的活動を漁業者達に促すこと」だと考える。
・水産普及の目的は水産業改良普及事業推進要綱(「水産業改良普及事業推進要綱等の制定について」平成17年 農林水産事務次官通知);「沿岸漁業等の生産性の向上,経営の近代化及び沿岸漁業等の技術の改良を図るため,沿岸漁業等の従事者に沿岸漁業等に属する技術及び知識の普及教育を行い,その自主活動を促進し,もって,沿岸漁業等の合理的発展を期する」
・普及の核となる目的「漁業者の自主活動の促進」が結果として「漁業の合理的発展を約束」するとなる。
・「水産業をとりまく新しい情勢変化に即応した水産業行政の方向に沿って,沿岸漁業等の経営の近代化を促進することに重点を置き,沿岸漁業等の従事者等が科学的知識及び技術に基づいて地域の特性に適応した合理的な漁業経営を行うように,その自主的な努力の助長を図るものとする」
・以上のことから,「漁業者の自主的活動を促すこと」が普及の核心的な目的と言える。
・日常的な普及活動において,その時々の普及テーマが何であろうと常に漁業者の主体的活動を促す,つまり自発的動機の芽生えと成長を促すという意識と取り組みが必要である。
・実は普及員の情熱が漁業者たちの自発的動機の芽生えや生長を促す一番の刺激なのかもしれません。漁業者や漁村女性が「漁師の奥さん」から「リーダー」に,「リーダー」から「経営者」に転身していく姿や漁協職員やメンバーの表情が明るくゆとりあるものになるといった,「人が変わった」と感じる経験は,これを促した普及員自身の大きな「やりがい」や「情熱」,つまり普及の醍醐味となり,普及をさらに進展させる力になっていくのである。
・水産普及の進展という志を持つ全水普及協を中心に大学や水産関係機関が幅広く連携して,水産の普及の高度化を目指して行動を起こして欲しい。
・コミュニティFacebook「うみ・ひと企画」で,できる限り紹介
○水産普及は重要性が高いにもかかわらず,大きく取り上げられる機会は少なく,貴重な論稿である。(あとがきより)
○2年前にもまとめた記事。
http://nabegory.blogspot.jp/2015/04/blog-post.html
○2年前にもまとめた記事。
http://nabegory.blogspot.jp/2015/04/blog-post.html
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