東北水産業復興研究会が主催する世界の英知を復興へ東北マリンセミナーが開催されました。概要の防備録、メモメモ。
次第 |
とても良い眺め |
開会の挨拶(大泉一貫氏,宮城大学名誉教授)
基調講演
気仙沼の復興に向けた阿部長商店の挑戦と展望(阿部泰浩氏,阿部長商店)
・阿部長商店の概要説明。
・自社加工品ブランドマークのマーメイド,三陸広域連携による水産物輸出プロジェクトSANRIKUブランドの取り組みを紹介。
・過去になぞらえるだけではなく,新しい商品開発に臨むことが大切なのであろう。
・これからも地域水産のための努力をしたい。
阿部社長 |
1部 市場力のある持続可能な水産業へのイノベーション
岩手県の漁業における東日本大震災からの復興の現状と課題(後藤友明氏,岩手大学)
・漁協組合24,産地市場13,小規模な漁業がたくさんあるのは岩手の特徴。
・復旧の進捗と水揚量推移は何を意味するのか,復興を評価できる指標は?
・組織体よりは個人経営体への被害が大きい。
・漁獲量;復旧・復興とは逆のトレンド?
・水揚げ隻数,水揚量とCPUE(漁獲量/隻数);漁業種類別の特徴を整理
・漁獲努力量からの評価は必要であろう。
・震災前の水準を指標:復旧のスピードは早いが資源は不安定(サケ等)
・震災前からのパラダイム変化はない(基本的な考え方が変わってない)
・何を持って復興とみなすか?:高い収益性と持続的な生産が必要
後藤さん |
海の恵みを大切な「あなた」へ。被災地の活力を取り戻す水産物の6次産業化(伊藤浩光氏,海遊)
・6次産業化を目指す理由:地元雇用を生み出さなければ被災地に人を戻すことができない。
・生産者受け取り価格の低迷を打開したいという想い。
・6次化といっても,漁協を通して買うようにしている(両方が反映することを考えなくてはならない)
・課題:人材育成,営業力強化,流通問題,生産性の向上など。
伊藤さん |
地域ブランドの形成と復興(案)(小野寺氏,オノデラコーポレーション)
・アンカーコーヒーNever Forget 3.11 の言葉は忘れないために外さない(社内でも6年経過しそろそろ外す意見が出たが,忘れることは油断に繋がるから外すことはできない)。
・コーヒーショップとしての行動指針:ライフスタイルを提供,ないものはつくる,できないことはできるようにする。
・ブランド;突き詰めた後にできてくる道のようなものであり,そのことに対する信用である(ロゴマークやキャッチコピーは大事だが,目的ではない)。
・経験や関わりがブランドへの印象を与える:よりよい変化をおそれず,常にベターを求め続け,おいしいコーヒーと共にある,あたたかくやさしい選択肢を提供しつづける。
・ブランドという言葉はもともとノルウェー発祥で焼印にはじまる。
・ブランドのイメージは良くも悪くも変わるものであることを認識する必要がある(変化を前提とし,そこから信用は生まれる)。
小野寺さん |
サケマス養殖の動向(中山圭介氏,ノルウェー王国大使館)
・ノルウェーの養殖漁業は20年で498%の成長を記録した。
・サーモンの管理体制は厳格で,容積の2.5%までと定める他,溶存酸素,海流,水温を常時モニタリングしている。
・また,環境に配慮する養殖に限りライセンスを発行するようにしている。
・The egg 隔離されている
・ノルウェーは周年で操業するが,日本は期間限定の操業である(水温の問題もある)。
・日本国内の動きを見ているとサーモンやトラウトの養殖が拡大している。
・三陸(宮城)の立ち位置を考えると,境港や佐渡は今後大きく漁獲を延ばすことが見込まれ,脅威となるであろう。
・境港では新日鉄エンジニアリングが技術導入し,魚が食べたい時に餌を入れるシステムを構築している。
・また,韓国でも銀鮭養殖を始めたようだ。こちらも怖い。販売先は中国念頭だが,商社(ロッテ)は日本もマーケットに含めている。
・エコマーデン養殖生け簀のPR
・サケのマーケットは広がっていくので,まずは三陸の生産量を増やしていくことが大事と思う。
中山さん |
水産イノベーションと世界をターゲットとした戦略(片野歩氏,水産ジャーナリスト)
・ノルウェーサバは脂が乗っていて小学生の食味で7割が国産より美味しいと回答した。
・年間の脂肪分推移をみると,ノルウェーは脂が乗った時に漁獲している。
・日本は秋に脂が乗るが周年操業で脂がないときにも獲っている。
・東シナ海系群はすでに壊滅,太平洋にもロシアや中国が進出してきている(中国は5月1 日からの国内禁漁4ヶ月の間に太平洋に進出)
・和食のお店は2013→2015年までに62%増加,和食ブーム,魚の消費拡大
・MSCサポーター企業は持続性をPRして競争している。
・日本の冷凍水産物のトレーサビリティは脆弱でとても危ない:ノルウェーサバは詳細な情報が表記され,バーコードで管理されている。日本もしっかりとしたラベリングが必要である。
東北の漁業を成長産業に!(勝川俊雄氏,東京海洋大)
・70年代:公開自由の原則と食糧難の背景から魚類は売れた。
・今の時代は資源管理とマーケティング(生産物の価値を伝える)が重要。
・生産者と消費者の距離が離れている:生産の人は消費の現場を知らない,消費の人は生産の現場を知らない
・水産マーケティングのポイント;販売パートナーをつくる,地元の宝を発掘する。
・四十八漁場,広田コツブの例(APカンパニーの野本氏が繋ぐ)。
・漁業者は居酒屋ではヒーロー,漁師が自分の仕事に誇りを持てる;生産者と消費者の距離を縮めることが大きな価値を生む。
・生産者が消費者と接することでサポーターを得ることになり,食べるということに対して新たな価値が生まれる。
勝川さん |
2部:磯焼け対策の世界モデル構築の挑戦
磯焼けの現状について(田邉研究員,気水試)
・震災の後に一時的にウニは減った(津波で持っていかれた)が,その後の新規着底のウニと戻ってきたウニが海底に溢れている。
・磯焼け海域でウニの密度が減らない理由:無節サンゴモがウニの着底変態を誘引する物質をだしている(谷口(2008),恒生社厚生閣)。
田邉君 |
各国における磯焼けの現状と磯焼け対策事業の取り組み~ウニノミクスと3本の矢(高橋栄樹氏,歌津青年部)
・ウニノミクスは採捕,畜養,販売の複合的な取り組みの総称。
・最新の成分文政データでは,畜養ウニは苦味が高く,イノシン酸が低いという結果だった。
・餌成分を変えるなど,今後の改善課題である。
高橋さん |
仙台市場から見る蓄養ウニの今後について(菅野清人氏,仙都魚類)
・仙台はマグロ主体の赤身市場である。
・ウニは魅力ある商材で,拡充の余地がある。
・CAS冷凍によるウニも試した;確かに美味しいが冷凍ものだと香りがないという評価,よって養殖ウニへの期待は大きい。
・美味しく作ってもらったものを情報とともに伝えていきたい(物と事を売る)。
菅野さん |
宮城県における水産業復興の取り組みの紹介(磯焼けプロジェクトに加えて)(西川正純教授,宮城大学)
・気仙沼アカザラガイ,志津川タコ,閖上アカガイの取り組みを紹介した。
・アカザラガイは成分分析で旨みの裏付けができ,県とPRしている。
・志津川タコは地元では有名だが,県外での知名度は低かった。
・他産地と成分からの優位性を示せなかったため,駅弁という形で話題性をだし,認知されるようになってきた。
・閖上アカガイはブランド基準を設定し,資源管理と併せて底上げした。
・最近では身色が黒化した個体も見られ,原因解明が求められている。
西川先生 |
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