気仙沼市と東京海洋大学が主催する2017年第3回、水産セミナーに参加してきました。
今回は物流のお話です。
開会
挨拶
○菅原茂市長
・今日はこれまでと趣向が異なり,工学分野の先生をお呼びした。
・流通をテーマにご講演をいただく
・南三陸インターも先日開通し,向こう2年で流通にも大きな変化が起きるだろう。
・流通も大きな変革期を迎えているので,ヒントを手にして欲しい。
○東海正副学長
・いつもなら海洋科学部だが,今回は海洋工学部から食品の流通・安全の専門家をお連れした。
・黒川先生はすでに大船渡でサンマの流通でも大きな成果を上げている。
・気仙沼として地域の特徴を挙げていただき,やり取りの中から新しいものを作っていただきたい。
産地と消費地を結ぶ流通システム~水産サプライチェーンの効率化・強靱化に向けて~(海洋大,黒川久幸教授)
・生産,流通と消費が結びついて経済活動となる。
・東京海洋大に統合前の東京商船大学はもともと物流を専門に扱っていた。
1.
企業経営を左右するロジステックス
・利益の生み出し方:「売り上げを上げる」か「無駄を省く」。
・トヨタのカイゼンの中身:売り上げは下げても利益を上げる;意外といろんなところで削減が図れる。→ ひとつには在庫管理
・なぜ、在庫が多いと販管費が増加するのか?:製品の輸送・保管等には費用が生じる(無駄な在庫が多いほどコストがかかる)。
・在庫が多いとキャッシュフローも悪くなる(資金繰りが大変になる)。
・売れ行きの悪い商品が過剰在庫になっている傾向もある(3年以上在庫になっている物は持っていても仕方がない→いらないものはちゃんと処分しないといけない)。
・メーカー部門は大きく3つ:営業,生産,調達
・企業により異なるが,営業の販売計画がそのまま在庫につながる実態もある(営業成績が評価に繋がることから生産過剰な計画を立てやすい;会社全体としてはマイナスの要因となりうる)。
・改善事例として,営業と生産の間にSCM部(いわば調整役)を入れ,生産調整をしたものがある。
・物をいかに作り,いかに販売するのかを考える必要がある。
2.
三陸自動車道の全線開通と水産物流通
・ロジステックスの目当て:5R(時間,場所,価格,数量,品質)
・必要な商品や物資を,適切な時間,場所,価格のもとで,要求された数量と品質で供給する。
・国内貨物輸送量の92%をトラックが担っている。
・一方,運転者は高齢化の割合が高く,近年,従業員が減少傾向,物を運んでもらえない時代が来ている。
・営業用車でも積載効率は5割を下回っており,非効率な問題もある。
・対策となるキーワードは輸送の「共同化」と資材の「標準化」。
・プラネット物流の共同物流(効率化とCO2削減)の事例。
・容器等の標準化:物流クレート標準化事業
・バーコード管理,パレットとダンボールなど:包装設計の改善では積載率の向上に繋がる。
3.
水産分野でサプライチェーンの効率化・強靭化
・小売価格に占める流通経費等の内訳が水産物と青果物では違う。
・気仙沼は業者がたくさん集まっているのが強み,産業が集積している。
・生産加工における垂直連携と統合(養殖)の取り組み。
・市場規模が縮小する中での事業の維持・拡大:シェアの拡大と新たな市場への進出と開拓。
Q:水産分野で共同物流を行なっている事例はあるのか?
A:いろんな仕組みを提供している企業はある。水産の事例はあまりない。生鮮と冷凍の扱いの違いによる難しさもあるだろう。
Q:自然を相手にした生鮮物に対するものでは限界もある気がする。どうすれば良いのか,今日だけではなく,これからも我々にアドバイスをいただきたい。今後ともよろしくお願いする。
A:従来のやり方でやるべきことと,新しく考えてやるべきこととがある。よいアイデアがあれば提案したい。
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東海先生 |
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黒川先生 |