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2016年7月12日火曜日

氷スラリー

江戸時代から魚の流通に活用されているという氷。
今日は最新の氷、氷スラリー(シャーベット氷)を学びました

説明する渡辺先生












講師の渡辺学先生は“持続可能な食の消費”の方でもお世話になっています。
ようこそ気仙沼へお越しくださいました!

さて、今日の学習のポイントは次のとおり。

食品加工・流通における氷スラリーの利用(渡辺准教授、海洋大)
・氷スラリーとは微細な氷と液体の固液二相混合物と定義される。
・シャーベット氷は商標で、一般には氷スラリーと言う(リキッドアイス、シャーベットアイス、ジャムアイス、スラリーアイス等も商標である)。
・氷スラリーの主用途は蓄冷熱で、食品を高品質に保つことに役立つ。
・短期保存(チルド保存)の原理:T-T-Tコンセプト;Time(時間)、Temperature(温度)、Tolerance(許容範囲)
・食品を長期間保存するためには微生物の数を減少させるか、微生物の繁殖速度を遅らせる(温度を低くする、水分活性を低くする、pHを低くする)しかない。
・生の魚や肉をそのままの状態で保存できる可能性があるのは冷凍だけ(熱では変成する)。
・冷凍の最大の欠点は氷結晶で、現状で唯一の対策は急速凍結しかない。
・品質=凍結前処理*凍結*保存*解凍
冷凍分野の最大の課題は解凍技術(いかにドリップを出さないか)である。
・氷スラリーの一般的特徴(水氷と比較して)は、冷却能力が高い(小さいので入り込む)、温度変動が起きにくい(隙間が少ないため)、流動性がある(ポンプでどこにでも送れる)、ダメージフリーな接触(輸送中も傷つけない)にある。
・氷スラリーは氷濃度により特徴が変わるので、用途に応じて配分を変えるようになる。(一例として、完全な冷却用なら塩分濃度は20-30%など)
・八戸魚市場はEUハセップを取るために氷スラリーを導入(EUハセップでは人が魚に触ってはダメ)
・扱いが簡単なので、省力化、軽作業化にも貢献する。
・小売店舗では品質維持と商材のディスプレイ(乾燥が抑えられ見た目もきれい)に活用されている。
・氷スラリー冷熱ネットワークを社会インフラとするための研究が進められている。
・科学的にも妥当性が有り、食品への利用はまだまだこれからである。

その後、実際の製氷工程を見て、活魚保存氷スラリーで冷やした魚の試食をした。
・シャーベット氷のマルチ機能:冷却、出荷、凍結、解凍すべて1台でできる
・氷の粒は約0.1mm−1.8で解凍:ドリップが出ない
・シャーベット氷で解凍したイカ、鮮魚と変わらない品質を維持する。
・牡蠣への応用:広島でシャーベット氷により1ヶ月間、生で食べられるようになった。(剥き牡蠣)
ランニングコストは1t1000円程度(電気、水、塩など)
・試食会では地元のプロの目利きから冷凍品との明確な違いは今の段階で評価できないが、時間が1週間
 経過したときなど見たいなどのコメントがあった。

確かに時間経過後の商品比較でどのような違いが見られるのかは興味がありますね。
楽しみな技術、今後の動向にチェックです。

スラリーの製氷
5秒で手が凍える
  



マコガレイもすぐに動かなくなる


試食会






















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